DILITECH

COLLAB

2024.12.23

専門家が教える”正しいオフィスチェア”の選び方

オフィスワーカーは、座って行う作業が多く、椅子は仕事のパートナーです。
フィットしない椅子は、肩こり腰痛の原因となり、作業効率低下につながります。
では、どんな椅子を選べばよいのか?高級チェアであれば本当に間違いないのか?
今回、専門家の国際医療福祉大学・大学院 窪田准教授に聞いてきました。

窪田先生は、椅子の専門家とお聞きしました。

- 椅子の専門家というより、「座ること」ですかね。
私は、作業療法士、というリハビリの資格を持っていて、医療現場で働いていた頃は、身体が衰えて座ることが難しくなったり、長時間の座位作業が難しい患者さんの治療にあたってきました。
研究者となってからも、座ることの研究は続けています。

座ることに対して治療を行ってこられたんですね。我々のようなオフィスワーカーは、どんな椅子を選べばいいのでしょうか?

- そうですね、どんな椅子を選べばいいのか、の答えを出すには、どんな姿勢が良いのか?を先に考えなくてはなりません。

背筋を伸ばした姿勢が良くて、背中が丸くなった姿勢は良くない、ということではないのでしょうか?

- なるほど、たしかに私たちは小学生のころから、背筋を伸ばしなさい、と大人に言われ育ってきていますね。では背筋を伸ばした姿勢とはどんな姿勢なのでしょうか?

…よく聞くのは、背骨がS字のカーブになっているのが自然で良い、と言われている気がします。実際にオフィスチェアを買いに行った際、そのようなことを言われました。

- よくご存じですね。その通りです。よく言われているのは、背骨、専門的には脊椎と言いますが、脊椎がS字のカーブになっていることが望ましい、ということですね。
実はこの姿勢は立っている時の、人間の脊椎の形状に由来しています。立っているとき、脊椎はS字のカーブになるのです。

なるほど!立っているときの様に自然なS字のカーブにするのが良いのですね!

- でも、立っているときと同じようにS字のカーブにする姿勢が本当に良いのでしょうか?

…違うんですか?

- では順を追って説明していきましょう。まずS字のカーブとは、脊椎が、腰の部分では前に反って、胸の部分では後ろに反って、首では前に反っていることを言います。
専門用語では、前に反っていることを前弯、後ろに反っていることを後弯と言います。
人間は座っているときは、立っているときよりも、前弯が減少し、腰がまっすぐ、あるいは丸くなります。この状態では、脊椎にある椎間板に加わる力が大きくなります。この事実は、もう半世紀以上前の研究からわかっていることです。ちなみに椎間板とは、脊椎をなす椎体と椎体との間にある組織で、クッションのような役割があります。
そして、座っているときに、この椎間板への圧縮力が増すと、椎間板が脊髄を圧迫したりするということが言われているわけです。

それで、脊椎をS字のカーブにすることが重要、と言われているんですね。

- その通りです。 そして、椅子の腰の部分にはランバーサポートという機構を持たせることが推奨されてきました。これは、椅子の背もたれの腰部を隆起させて、カーブの減少した腰部を矯正するための機構です。ランバーサポートは、オフィスチェア、自動車のシート、その他にも様々な椅子に実装されています。実際にランバーサポートが椎間板の圧縮力を軽減することもわかっています。
そして、この考え方は、20世紀から21世紀の現代まで、デファクトスタンダードとして椅子のデザインに取り入れられてきました。
一方で、この考えたに疑問も投げかけられ、最近は少しずつ変わってきています。

変わってきている?S字のカーブで良いという訳ではないんでしょうか?

- そうです。必ずしもS字のカーブを作っていれば良い、というわけではありません。

<後編に続く>

窪田聡氏

国際医療福祉大学小田原保健医療学部/大学院福祉支援工学分野 准教授 博士(保健医療学) 作業療法士。
身体機能の著しく低下した患者の座位姿勢に関する生理学的・生体力学的研究や、起立性低血圧によ関する循環・自律神経調節の研究に従事している。
国際医療福祉大学大学院 教員紹介
国際医療福祉大学/大学院 窪田聡研究室

keyboard_arrow_left

BLOG一覧へ